管理権限者と防火管理者って?

1.管理権限者って何者なの?

 マンションを買ってくじで「理事長」が当たったとき、多くの人がこう思います。「えっ、くじ引いて理事長が当ただけなのに、なんで突然“管理権限者”とか呼ばれてるの!そんなの聞いてないよ!?」

 まるでRPGで、最初のチュートリアルが終わった瞬間に「あなたは世界を救う勇者に任命されました」と告げられるようなものです。こちらはただの“平凡なプレイヤー”でありたかったのに、いきなり魔王討伐コース。

 でも現実世界の「魔王」は、火事や地震、台風などの災害です。こればかりはゲームのように「セーブポイントからやり直し」なんてできません。

 管理組合の理事長=管理権限者は、法律的にも「マンションの防災・防火の総責任者」と位置付けられ、「防火管理者」や「防災管理者」を選任する権利と義務を持っています。要は「命の安全を預かる人」なんです。

「そんな大役、俺には無理!」と思った方、ご安心ください。ちゃんと役割分担の仕組みがあります。それが防火管理者や防災管理者です。

2.防火管理者と防災管理者の違い

 ここからがよく混同される部分です。防火管理者 → 火事担当、防災管理者 → オールラウンダー担当。例えるなら、防火管理者は「火事場の指揮官」、防災管理者は「災害界のマルチプレイヤー」なのです。

「火事は私の担当だけど、地震はノータッチで!」なんて言えません。日本という災害テーマパークに住んでいる以上、地震・台風・停電・豪雪といったアトラクションは、強制的にフルコースで体験できます。

 防災管理者になるためには「甲種防火管理者」の資格が必要です。つまり、まずは“火事マスター”になってから“総合防災マスター”へと昇格するわけです。ゲームでいうなら、「戦士レベル30以上でパラディンに転職可能!」みたいな仕組みです。

3.資格取得のリアル

 防災管理者資格取得のための講習は、なんと2日間です! 「たった2日間で命を守れるようになるの?」と不安に思うかもしれませんが、講習中は意外と楽しく、消火器を実際に使ったり避難誘導をシミュレーションしたりと、まるで防災テーマパークのアトラクション体験のようです。

 ただし注意点がひとつ。服装は“軽装・動きやすい靴”。スーツに革靴で参加した人は、消火器訓練のときに足元でツルッと滑り、「避難する前に自分がケガした」という伝説を残す羽目になります。

 受講料は札幌市の場合1万8千円。高いと思うかもしれませんが、考えてみてください。あなたの命やマンション全体の安全の値段がたった1万8千円ちょっとですよ? 受講料は管理組合が負担すべきでしょう。

4.防火管理者と防災管理者のミッション

 防火管理者の、実際の業務はけっこう幅広いのです。消防計画の作成、避難訓練の実施、消火器や火災報知器のチェック、火の用心パトロール非常口への通路確認(荷物置き場になっている場合があります)、市町村の指定避難場所や自治会と町内会の指定避難所の周知。

 防災管理者はさらに、地震・停電・豪雪時の対応マニュアル作成までやります。特に雪国では「玄関前の除雪」が最大の課題。消防車や救急車が近づけず、「まずは雪かきから始めます!」では、命を救うどころか意味がありません。だから、ベランダは居住者、玄関前の除雪は住民みんなで協力する必要があります。

5.自衛防災組織のすすめ

 法律上は義務でなくても、小規模マンションでも「自衛防災組織」を作ります。なぜなら災害は「法律の適用範囲」を確認してから来てくれるわけじゃないからです。組織といっても、難しく考える必要はありません。

「避難誘導係」「消火器チーム」「情報伝達係(スマホ担当)」「雪かき隊」など、役割を割り振るだけでも安心感が全然違います。全員で消火器の使い方を覚えます。そして忘れてはいけないのが、年1回以上の消防訓練です。

 避難訓練は「どうせ形だけでしょ?」と思う方もいるかもしれませんが、訓練をしておくと本番での行動が格段にスムーズになります。プロの消防士ですら「訓練が命を救う」と言うのですから、素人の私たちにはなおさら必要です。

6.責任と罰則のリアル

 ここで少しシビアなお話。もし防火・防災管理者がサボっていた場合、責任が問われることがあります。たとえば、火災報知器が壊れているのを知りながら放置した、避難通路に荷物が山積みなのに見て見ぬふり。消防計画の緊急連絡先に表示されている電話番号の未確認など。

 そんなときに火災が発生したら…「あのとき見ておけば、調べておけば」と後悔しても遅いのです。避難時に高齢者が経路の荷物につまずいてけがをした、玄関で押し合いになり下敷きになってこどもがけがをしたなど、場合によっては損害賠償責任を問われることすらあります。

 一方で、まじめに日頃の職務を遂行していた場合は責任を問われません。つまり「普段どれだけちゃんとやっているか」が命運を分けるわけです。ここ、学生時代のテスト勉強と同じですね。「やってる人は助かる、やってない人は泣きを見る」。

7.~防災は“みんなの推し活”~

 結論として言えるのは、管理権限者・防火管理者・防災管理者は、マンションのヒーロー的存在だということです。ただし、彼らに丸投げしてはいけません。防災は“推し活”のようなもの。全員で盛り上げてこそ効果があります。

「避難訓練? ちょっと面倒だな」ではなく、「今日はご近所さんと一緒に防災フェス!」くらいのノリで参加する。雪かきだって、「共同作業でジム代わり」と思えば、筋トレと交流が一度にできます。

 災害は忘れたころにやってきます。でも、忘れないようにするコツは「楽しく続けること」。あなたのほんの少しの協力が、家族やご近所さんの命を救うかもしれないのです。さあ今日から、あなたも“マンション防災ヒーローズ”の一員です!