脊柱管狭窄症で悩む方々へ

 脊柱管狭窄症は「誰に手術してもらうか」で結果が変わります。だからこそ、医師選びがすべてと言えるのです。脊柱管狭窄症と診断されたとき、多くの方が最初に直面するのは「手術を受けるべきか」という迷いでしょう。しかし、もう一歩踏み込んで考えるべき本質があります。

 脊柱管狭窄症は、単に手術を受ければ良くなる病気ではありません。経験豊富で専門資格を持つ医師に手術をお願いすることで、初めて安心できる結果に近づく病気です。逆に言えば、医師選びを誤れば後遺症や再発といった、リスクに直面する可能性もあるのです。

 なぜ、医師選びがそこまで重要なのでしょうか。脊柱管狭窄症の手術は、「体の中の極細トンネル内の工事」です。しかも、そのトンネルの中には、神経という超デリケートな配線がぎっしり詰まっています。その様子を想像してみてください。

 あなたが自宅の水道修理を頼むとき、「配管工なら誰でもいい」と思うでしょうか?おそらく「経験豊富な職人さん」にお願いしたくなるはずです。脊柱管狭窄症の手術も、まさにそれと同じです。当然、水道修理とは比較にならないほど繊細で複雑で重要な箇所です。

資格は、安心の保険

 医師を探す際に、重要なのが次の資格です。日本整形外科学会の脊椎脊髄病医で、日本脊椎脊髄病学会の専門医と指導医の資格です。これらは単なる肩書きではありません。豊富な手術経験と実績を持ち、なおかつ定期的な技術審査をクリアしているという証明です。

 日本整形外科学会の脊椎脊髄病医で、日本脊椎脊髄病学会の専門医・指導医の資格は、いわば「プロの中のプロ」といえるのです。料理人に例えれば、家庭料理ではなく「ミシュランの五つ星を獲得されたシェフ」のような存在です。

うまくいかなかったケース

 残念ながら、脊柱管狭窄症の手術は「当たりとはずれ」が存在します実際に、手術後もしびれが残る、痛みが完全に取れない、別の後遺症が出る、といったケースは珍しくありません。私は手術を受ける決断をするまでに、多くの方々からこのようなケースを見聞きしました。

 手術は成功と言われながらも、症状が改善しなかったケースや、医師が転院してしまいその後のフォローが受けられなくなったケースもありました。ここで少し皮肉を言うなら、「手術は成功しました。でも症状は残りました」というのは、患者にとっては成功とは言えません。

 漫才師の横山たかしさん(68歳)は、脊柱管狭窄症で2014年1月から入退院を繰り返し4月と6月に手術を受けても元の姿へ戻れませんでした。2016年8月に3度目の手術を受け12月に退院しました。

 松竹芸能60周年道頓堀寄席正月公演では3年ぶりに、リハビリと大金持ちのおぼっちゃまキャラを逆手に「48億円の純金車いす」に乗って大阪・道頓堀角座に登場し、漫才活動を再開させました。

 自称「大金持ちのおぼっちゃま」を演ずる横山たかしは金ぴか衣装でほらを吹き続け、相方の横山ひろし(68)につっこまれて赤いハンカチをかみ「すまんのぉ~」。熟練のネタ運びは健在で、ここに「48億円の純金車いす」が加わったのです。

 脊柱管狭窄症になった原因を「38億円の純金衣装が重すぎた」といい、金ぴか車いすは「安倍総理がおぼっちゃまが苦しんどるから」と手配したといい、その費用は「48億円」。とどまることを知らないたかしのほらに場内は大爆笑でした。

 金ピカ衣装に真っ赤なハンカチを握りしめたホラ吹き漫才で人気を博した漫才師、横山たかし(本名・山高孝=やまたか・たかし)さんは、2019年6月1日に70歳で脊柱管狭窄症の症状が回復しないままこの世を去りました。ご冥福をお祈りいたします。

手術が成功するケース

 では、手術が成功するケースは何が違うのでしょう。それは非常にシンプルです。経験豊富な専門医が、適切なタイミングで手術を行っているという点です。実際に、重度の症状で歩行困難だった方が、手術後には問題なく歩けるようになり、日常生活を取り戻した例もあります。

 つまり、同じ病気でも医師によって未来が変わるのです。私自身の体験から「現実」といえる最初の症状は「太ももの違和感」でした。やがて、しびれ、痛痒さ、歩行困難(10mごとに休憩)と悪化していきました。

 病院に行けば解決すると思いきや「歩けなくなったら手術ですね」と、まるで天気予報のような一言。正直、「それだけ?」と思いました。自分で調べて運動療法を試し、旅行で数万歩まで歩けるほどに回復したこともあります。でも、一時的に症状が改善しただけでした。

 再発は突然やってきました。そして最終的にたどり着いた結論が、「ごまかしながら付き合う病気ではない」「手術を決断すべきときは来る」ということでした。

手術を決断した理由

 手術に踏み切るまでには、かなりの葛藤がありました。手術しても治らないかもしれない、後遺症が残るかもしれない、医師を信じていいのか分からない、でも放置しているとさらに悪くなる可能性もある。まさに「疑心暗鬼」の状態です。

 しかし、最終的に決断できたのは、「手術実績が豊富な病院を見つけたこと」「専門資格を持つ医師を知ったこと」「低侵襲手術を行っていたこと」という3つが揃ったからです。手術の結果はどうだったのか、結論を正直にお伝えします。手術後、症状はすべて解消しました。

 歩行中のしびれ → なし、間欠性跛行 → なし、日常生活 → 完全復帰。手術後のリハビリで問題なく歩けるようになり、以前の生活を取り戻すことができました。「あのとき決断してよかった」と心から思っています。

 最後に、脊柱管狭窄症で悩んでいるあなたへ、これだけはお伝えします。手術をするかどうかより、誰に手術してもらうかを重視してください。近所だから、紹介されたから、有名だから、そんな理由で決めてしまうのは、あまりにもリスクが高い選択です。

 インターネットで調べましょう。医師の実績を調べてください。医師の資格を確認してください。そして、納得できる医師に出会うまで焦らないでください。必ず見つかります。

 脊柱管狭窄症は、医師選びで結果が決まる病気です。信頼できる専門医に出会うことが、最高の治療であり最大のリスク回避です。あなたの未来の歩行と生活は、あなたの選択にかかっています。

 あなたが次に読む記事は「誤嚥防止と誤嚥対策」です。