管理員さんという職業
あなたは新築(または中古)マンションを購入して新居へ引っ越した時に、マンションの規模にもよりますが、玄関で出迎えてくれた人がいます。マンションの管理員さんです。管理員さんの多くは高齢者で、再就職された方が多いようです。
1.管理員さんの勤務形態は
マンションに入居すると、玄関前を清掃している姿や、各階の廊下などの共用部を清掃する姿を見かけます。管理員さんはマンションの規模により、常駐勤務、昼勤、隔日勤務、週2日勤務勤務など、様々な勤務形態があります。
常駐勤務というのは、住み込みの管理員さんの場合です。管理会社が買い上げた住戸に住み込みですから、管理員さんは管理会社へ家賃を支払っている場合が多いようです。夫婦での住込みもあります。マンションでは常勤の管理員さんが多いようです。
常勤というのは、毎日(おそらく土日を除いて)という意味になるので、月曜から金曜までの朝から夕方まで毎日勤務していることになります。マンションによって勤務時間は異なりますが、基本的には8時〜17時または9時〜18時(休憩1時間を含む)を基本労働時間としています。
昼勤は朝からではなく、正午から勤務することを指します。いわゆる半日勤務です。隔日勤務は月水金という1日おき勤務や、月曜と木曜のように週二日勤務もあります。小規模のマンションは週二日昼勤という場合が多いようです。
マンション管理員とビル管理員の作業内容には類似事項が多いのですが、マンションは個人や家族利用者が多いため、「建物の区分所有等に関する法律」と言う法律により、ビル管理にはない制限があります。
2.管理員さんの業務とは
マンション標準管理委託契約書の別表第2に「管理員業務」と掲載されている業務が、管理員さんの最小限の受け持ち業務になります。受付等の業務は、各種使用申込や組合員等異動届出書の受理及び報告、管理規約等の閲覧、共用部分の鍵の管理及び貸出し、備品の在庫管理、引越業者等への指示などです。
点検業務は、建物、諸設備及び諸施設の外観目視点検、照明の点灯及び消灯(確認)、並びに管球類等の点検と交換、諸設備の運転(確認)及び作動状況の点検並びにその記録、無断駐車等の確認などです。
立ち合い業務は、外注業者の業務の着手と実施の立会い、ゴミ搬出時の際の立会い、災害、事故等の処理の立会いなどです。報告連絡業務は、管理組合発行文書の配付又は掲示、各種届出、点検結果、立会結果等の報告、災害、事故等発生時の連絡、報告などです。
マンション標準管理委託契約書の別表第3に「清掃業務」として、日常清掃と定期清掃がありますが、国土交通省は独立させているので管理員業務とは考えていないようです。多くの会社は日常清掃業務を、管理員業務の中に含めています。
清掃業務の特別清掃は、専用用具を使用することから管理会社が専門業者に外注していることが多いようです。これを第三者委託といいます。建物・設備管理業務は、建物点検、検査、エレベーター設備、給水設備、消防設備、電気設備などです。資格をお持ちの方が担当しますが、無資格者が点検している場合があるので確認が必要です。
3.管理員さんの苦悩
管理会社が管理すると言っても、マンションに常駐しているのは「管理員」さんですから管理に関する業務は管理員さんが窓口になります。隣人との騒音問題、ごみの置き方や出し方、違法駐車、ペットの糞尿、ベランダの使用違反、しつこいセールスマン対応、雨漏りや設備のクレーム、生活上の愚痴や苦情も「管理員室」に持ち込まれます。
風水害の被害、小火災、自殺者、孤独死、転落事故、喧嘩、救急者対応、AED使用等の事故、災害があれば取り急ぎの初期対応を求められます。勤務時間を超える事故には、時間外の対応を余儀なくされます。
管理員さんは契約に定められた定例業務を行うだけではなく、現場常駐者としてマンション管理に掛かる全ての業務についても処理する事が求められます。必ずしも、明確な権限はなく、明確な教育や研修指導もなされないままに、上手に処理をする事だけが求められています。
こうした場面で「管理員さん」は咄嗟の判断、機転、コミュニケーション能力、公平感、守秘義務といった能力が試されます。そして、マンション管理員さんの対応は、管理会社の対応そのものと評価されます。管理会社は現場管理をせずに、安い賃金で雇用して濡れ手で粟をつかんでいるのです。
マンション管理員さんは専門職でなければ務まりません。中高年の大きな労働力市場となりましたが、管理会社は優秀なマンション管理員を育成するために、難しい判断を迫られています。管理会社には、教えるほどマンション管理を知っている人がいないのです。
4.管理員検定の道

多くの管理会社の職員は、マンション管理業務主任受験のために参考書を丸暗記した程度で、不動産知識はあってもマンションでしっかり腰を落ち着けて管理の実務を体験していないため、平面的な知識しかありません。
管理会社も管理業務主任も、管理の実務体験がないため、プロの管理員を育成する力量にかけています。管理員の教育制度も管理会社によって千差万別で、業界として統一的な教育水準が存在しないのが現実です。
このような現状を打破すべく、一般社団法人マンション管理員検定協会は、マンション管理員検定を実施しています。管理員の業務に焦点を当てたテキストは内容豊富で、そこまで考えていたかと感心します。
マンション管理員の業務を理解するためにも、一般社団法人マンション管理員検定協会発行のテキストを購入して時々目を通されることをお勧めします。役員であれば、管理員の仕事を知らないでは済まされません。テキストは有名書店で販売されています。
5.まとめ
このように管理員さんの業務は複雑多岐にわたります。とはいえ、管理会社の職員はもとより、すべての管理員さんがこれらの業務をこなしているわけではありません。そこには当然人間性が現れます。手抜きをする方がいないわけではありません。
マンションは「管理を買え」と言われます。マンションを管理するのは管理組合です。管理組合の取り組み方ひとつで、マンションの価値が変わってきます。管理員さんの処理する業務のほとんどは、理事会メンバーでも手分けすれば処理できる程度の業務です。
これらの業務を、理事長時代の私は一部自主管理として12年間処理してきました。管理会社への委託業務量を減らしたので、委託料も削減できました。とはいえ、協力してくれる役員は皆無でした。残念ながらマンションの管理を、管理会社へ丸投げしている理事会が多いのも事実です。
分譲マンションでは、それぞれの価値観が違う人が一つの屋根の下で暮らしています。区分所有者全員がマンション管理とその必要性を理解し、10人がやる気を起こせば、一人よりも大きなことが成し遂げられます。あなたに期待します。
あなたが次に読む記事は「管理会社とは」です。

