町内会と自治会
あなたはマンションの新居に落ち着き、夢のような生活が始まりました。マンションが建っている地域に、住民が組織する自治組織があります。町又は字の区域その他市町村内の一定の区域に住所を有する者たちや、地縁に基づいて形成された団体が〇〇〇町内や〇〇〇自治会です。
マンションの建っている地域の〇〇〇自治会や〇〇〇町内会に、あなたが入会するかどうかはあなたの自由です。自治会や町内会は任意団体ですから、会員はいつでも自由に入会も退会できるのです。そうですね、入会してもメリットはないと、あなたはおっしゃるかもしれません。

問題はその入退会自由の陰で、ゴミ集積所の管理、防災訓練、防犯対策、街路灯の管理、児童の交通安全見守り、公園管理、遊具の点検、地域イベントの運営など、地域の公共的機能が誰かの無償の労働によって支えられているという現実を忘れてはいないでしょうか。
きちんと分別していないごみを、清掃事務所は回収してくれません。ゴミ収納容器の上や周囲に放置されたごみは、自治会や町内会の役員が分別して回収してもらっています。一人暮らしの若者たちが分別しないごみを、汗水流して分別している役員たちの姿を思い描いてください。
自治団体の活動とは
地方自治法で自治会や町内会という名称の使用はどちらでもよく、法律上の規定はありません。その区域の住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理等、良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的として、規約を定めている団体です。
自治団体の活動例をあげると、区域における集会施設の維持・管理、清掃等の環境整備活動、寝たきり老人への慰問や、身体障がい者への手助け等の社会福祉活動、スポーツ大会、レクリエーション活動、防災・防火活動、交通安全・防犯活動などです。

阪神・淡路大震災や東日本大震災の教訓から、自治体は地域における防災力の強化を求められるようになりました。期待されているのが、すでに地域に根づいた組織である自治会・町内会です。多くの自治体では「災害時要援護者リスト」の作成や、「誰が誰を見に行くのか」といった安否確認体制の整備を自治会や町内会に依頼しています。
4年ごとに行われる国勢調査の調査員も、多くの自治体は自治会や町内会に依頼しています。自治体から頼まれた会長は嫌とは言えず、最近の役員たちは面倒だからと引き受けてもらえないこともあり、過去に町内会長をはじめ役員をされたことのある方々を尋ねてお願いしています。
自治会や町内会の多くの活動は「報酬のない公共労働」であるにもかかわらず、地域のために自ら動くというボランティアで、他のどの民間団体よりも広く住民の信頼を得てきました。しかしながら、自治会や町内会に対する支援や人材・資金面でのバックアップは十分とは言えません。
「お願いはされるが、助けてもらえない」という矛盾が、自治会や町内会の活動停滞を加速させているのです。町内会費の中から費用をねん出し、役員たちにわずかな謝金をお渡している自治会や町内会もありますが、微々たる金額ですから役員の引き受け手は現れないのです。
2.自治団体の苦悩とは
少子高齢化や人口減少、都市化によって自治会・町内会のあり方が大きく揺らいでいます。仕事や子育てに忙しい若年層の時間的余裕のなさがあり、「何かを頼まれるのが面倒」「自分の生活に直接関係ない」といった心理的距離も加入を妨げています。
その結果、役員のなり手が減り、高齢の住民が毎年順番で役を回されるような状態が続いています。新陳代謝が計れないため役員は次第に高齢化し、ほとんどが前期高麗者(65~74歳)です。後期高齢者(75歳以上)になっても、引き受ける人がいないからと引き留められるのが現実です。
3.行政も自治団体も切り替えが必要
自由参加であるがゆえに強制はできません。けれども、参加者がいなければ地域の奉仕活動ができません。国勢調査も自治会や町内会が、調査員を探さなければなりません。このねじれた構造が、今の自治会・町内会の最大の課題と言えるのです。
行政が行うべきなのは、デジタル化支援や外部団体との連携、負担軽減のためのアドバイザー制度など、柔軟で持続可能な仕組みを導入することが、今後の自治会・町内会には必要不可欠です。役員たちの考え方は年齢と共に硬直化して、もはや柔軟な発想を生み出せないのです。
これらのことから新たな連携の形を考えるべき時期に至っています。たとえば、LINEやメール配信を活用した回覧板の電子化、高齢者や子育て世代の参加を促すデジタルツールの導入など、テクノロジーの力をどう使いこなすかが大きな鍵となります。でも、これらの知識は高齢化した役員にはありません。
4.まとめ
地域にはNPOやボランティア団体、町づくり協議会、大学、企業など多様な主体が存在します。これらと柔軟に連携し、役割を分担することで、すべてを背負い込まずに済む体制を築くことができるはずです。これには若い人たちの柔軟な発想が必要です。
「やらされる自治」ではなく、「参加したくなる自治」へ、地域のかたちを住民自身がともに描いていく。これこそが、これからの地域社会を支える真の力になるのではないでしょうか。若さ溢れる思考が現状を変えることができるのです。あなたの参加を期待しています。
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